熱伝導とは、「3つの熱移動(熱伝導・熱対流・熱放射)を考えよ!」紹介した、
固体 ⇔ 固体 (個体内部間)の熱移動のことです。
フーリエの法則(Fourier’s law) を覚えよう!
今から100年以上も前のこと・・・フーリエさんはこんな事をぽつりと語りました。
「材料が一定かつ一様な同一の固体内部の熱伝導においては、一次元の温度場が考えられるとき、伝熱量は温度降下のこう配と熱が流れる方向に直角な断面積とに比例する。」
んんん・・・1センテンツが長い・・・(笑)
要約すると、、、
伝熱量は、温度差と断面積に比例する。 これを覚えてください!
(材料が同じ・同じ固体での条件です。)
うん!シンプルでいいですね。(^^♪
これを式で表すと、、、
<伝導による伝熱量>
= <熱の伝わりやすさを表す比例定数> × <温度降下の割合> × <断面積>
これを数式で表すと、、、
$$dQ = -λ \frac{dθ}{dx} dA$$
~式の解説~
ここで、d とは、 微小を意味します。 式として扱う時は無視してOKです。
また、λ(ラムダ)の前に着く-(マイナス)は、も無視してOKです。
これは、熱は高い所から低い所へ流れる為、
式で表すときは、-(マイナス)を入れて表現しているのです。(減少関数ともいいます。)
これらを簡素化すると、、、
$$Q (W) = λ (\frac{W}{℃・m}) \frac{θ (℃)}{x (m)} A (m2)$$

熱伝導率を考えよう!
熱伝導率って言葉を皆さんは一度は耳にしたことがあると思います。
フライパンなどの家電製品で性能を示す指標として”熱伝導率”が使われますね。
この熱伝導率について解説しましょう。
熱伝導率は簡単に言えば「熱の伝わりやすさ」です。
単位は、$$ λ= (\frac{W}{℃・m})$$ です。
単位を読み解くと、
「各材料の単位長さ当たり絶対温度で1Kの温度降下を生じているとき、
面積1m2当たり毎秒流れる熱量」を表しています。
熱伝導率は、物性値と呼ばれ、材料で決める固有の数値となります。
下記表は、代表的な熱伝導率です。
空気(気体) 0℃ | 0.0219 |
液体(水) 20℃ | 0.597 |
固体(アルミ) 20℃ | 228 |
固体(ゴム) 20℃~30℃ | 0.237 |
~熱伝導率の特徴~
- 熱伝導率は、気体⇒断熱材⇒液体⇒非金属結晶⇒合金⇒純金属の順で増えていきます。
2. 同じ物質でも、圧力や温度の影響で数値が変わる。<値は一定ではない>
3. 金属の熱伝導率は、電気伝導率にほぼ比例する。
4. 熱伝導率が高い=伝熱性能が高い では無い。
実用的には、同一部材でも厚みが異なっている場合や周辺部材の熱伝導率が大幅に異なる場合があるため、必ずしも熱伝導率が高い素材を選べば伝熱性能が上がると考えると間違いの元です。
熱は「流れやすい方向に流れる性質」があります。詳細な把握は、別の検討が必要になります。
熱抵抗という概念を活用すると理解がぐっと進みます。また別の記事でご紹介できればと思います。
それでは、具体的に計算問題を確認して理解を深めていきましょう!
教科書的ですが平行面と円管の2種類を用意しました。
[計算練習]Q1.平行平面壁
問1. 厚さ20mmで熱伝導率が1.0W/(K・m)のコンクリート壁があります。
この内外表面に50℃の温度差があるとき、このコンクリート壁を通過する熱流束及び
放熱量はどの程度でしょうか。 表面積は30m2とします。
※補足:熱流束とは、移動熱量Wを単位面積(毎m2)で割った指標です。

[計算練習]Q2.円管壁
問 ある垂直配管の内部に不活性ガスが流れている。この配管からの放熱を極力抑えるために、外側に発砲断熱材を巻き付けようと思う。この時、保温層の内外温度がそれぞれ150度と40度になっていた場合、この保温層表面から単位時間あたりにどの程度放熱したと推定できるでしょうか。
円管(外径:100mm、:長さ5m)
発砲断熱材(厚み:50mm、熱伝導率:0.3W/m・K)
(解)
$$ Q(W) = \frac{2πλl}{In\frac{d2}{d1}}(θ1-θ2) = \frac{2π×0.3×5}{In\frac{200}{100}}(150-40)$$
$$ = 1495.7 (W) $$
最後に
最後までご閲覧いただいてありがとうございます。
熱伝導の公式「フーリエの式」を用いることで容易に計算することが出来ました。
これで熱伝導問題は容易に解ける!と思いきや、この計算は非常に教科書的です。
実際の熱事象は「熱伝導・熱対流・熱放射」この3要素が絡んでいますね。
しかも一方向に熱が流れるという過程は極めて少ない。
実際の計算では、熱抵抗の概念を用いた熱回路網法を簡易的に組んで解くことが実用的です。
机上計算の目的は様々ありますが、
あくまでも机上であり最終的には実験と照らし合わせる必要があります。
特にモデルの仮定(簡素化)による誤差が妥当であったかをしっかりと比較すれば
今後の糧になります。是非とも、身近な熱問題を机上計算して、実験をして、比較まで進めてください。
熱回路網法に関しては、今後記事にしてUPしていきます。