温度の伝わりやすさを語る・・その前にぜひ知ってほしい”熱拡散率(温度伝導率)”

熱コラム

熱拡散率(温度伝導率とは?)

早速ですが皆さん質問です!

個体間の温度の伝わりやすさを示すパラメーターって何ですか?

$$ 熱伝導率: λ= (\frac{W}{K・m})$$  

と答えていませんか? 

これ正しくは間違いです。    正解は、 熱拡散率 です。

熱拡散率は、ウサギと亀のレース展開になりうる

なぜでしょうか。 下の例にとってみましょう。
下の競争では、どちらが早く目標に付くでしょうか。

同じコースの争いでは、当然「ウサギ」が勝ちます。
しかし、それぞれコースが異なるとどうでしょうか。
どちらが勝つか分からなくなります。
変数が2つ登場するからです。 それは、「選手」と「コース」 です。

この「選手」と「コース」が熱では、「伝熱能力(熱伝導率λ)」と「蓄熱能力」に該当します。

この総合能力(物体内部の温度上昇の能力)熱拡散率(α)といいます。

(物体の側面が急激に加熱される場合に適応される。)

$$ 熱拡散率: α(m2/s)= (\frac{λ}{Cp・ρ})$$
(ここでCpは定圧比熱、ρ(ロー)は密度を指します。)

$$ 温度の伝わりやすさ= (\frac{伝熱能力λ}{蓄熱能力Cpρ})$$

例えば、亀を空気 、ウサギを鉄と見立ててみましょう!

それぞれの温度上昇能力は、

亀(空気)の熱拡散率:  2.17×10^-5 (m2/s) {熱伝導率λ:0.02}

ウサギ(鉄)の熱拡散率: 1.25×10^-5 (m2/s) {熱伝導率λ:49}

なんと走力(熱伝導率)では、圧勝のウサギさんでも、
コース(蓄熱能力)を考慮すると亀(空気)が先にゴール(温度上昇)するのです。

まさに「ウサギ VS  亀」のような展開です。

温度の伝わりやすさ と 熱の伝わりやすさは 必ずしもイコールでは無い のです。

最後に

今回は、”熱拡散率”についてウサギと亀の事例を用いて説明してみました。
お分かりやすかったでしょうか?( ;∀;)
どうかとも温かい目で見ていただければ幸いです。

熱拡散率は、CAEでの計算結果で任意選択で出力できるパラメーターだったりします。
場面的には少ないかもしれませんが、CAE結果レポートなどで熱拡散率を用いて説明すると、かっこいいかもしれません。

最後までご閲覧ありがとうございました。

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